
わたしの猫との付き合いは、かなり長いほうです。
親族一同、猫好きで、猫を飼っていない身内を探すのが大変なほど。実家でも、幼いころから必ず1匹は猫を飼っていました。そんな家系にあっても、「猫ががんになった」という話は聞いたことがありません。
でも、がんを発症する猫が少ないわけではありません。むしろ、がんで死んでいく猫はたくさんいます。飼い主ががんだと気付かないのは、治療や検査を受ける前に、あっけなく死んでしまう猫が多いからなんです。
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目次
「その日」は突然やってくる!
「うちの猫ががんになった!」という話は滅多に聞きませんが、「うちの猫が急にいなくなっちゃって…」とか、「2~3日具合悪そうにしてたけど、今朝、目が覚めたら死んでた…」という話はよく聞きますよね。
猫は痛みに強いので、いよいよ具合が悪くなるまで、平気な素振りを続けます。そして、動けないほど具合が悪いと感じたら、誰にも見られないように姿を隠します。これは、猫が生まれ持つ野生の防衛本能によるものです。
だから、飼い猫の体調や病気を見抜くのは簡単ではありません。「ちょっと様子がおかしいな?」と思ったときはすでに手遅れで、あっという間に悪化して、どうしようかと悩んでいる間に、あっけなく死んでしまいます。
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引き取ったときから体調が悪かった
ボランティア団体から里親を引き受けたその猫は、里親を引き受けたときから風邪と下痢の症状がありました。でも、一緒に引き取った別の猫も同じように風邪と下痢の症状があったから、深くは気にしませんでした。
保護主さんからもらったお薬を飲ませていたら、一旦は症状が落ち着きました。でも、またすぐに症状が出始めて。
ある日、風邪で声がちゃんと出ない様子で、食欲もありません。おまけに、少しだけどうんちに血が混じっていたから、ちょっと心配になって、近くの動物病院に連れて行きました。
「ウィルス性のカゼと胃腸炎だろうね、下痢の方はちょっと悪いウィルスかもしれないから、検便して調べましょう」
うんちは念のために持って行ってたから、検査してもらうようにお願いしました。あとは、風邪薬と下痢止めのお薬を処方されて、脱水を緩和するための点滴を受けたらその日の治療は終わり。
お薬と点滴が効いたらしく、風邪の症状は数日で治まり、声も出るようになりました。点滴を受けに通院するうちに少しずつ食欲と元気も戻って、以前のようにほかの猫と一緒に走ったり遊ぶようになりました。
「良かったー」と安心しましたが、元気な日はほんの数日しか続きませんでした。
安心したのもつかの間…
その後、またすぐに食欲がなくなりました。そして、最初の通院から17日目、前回の通院から4日目、ひどく具合が悪そうな硬い表情で、部屋のすみっこにうずくまっていました。
声をかけても、手を触れても、ピクリとも動きません。動かないというよりは、「動けない」といった様子です。
数日前に動物病院に行ったときは、「そのうち元気になるよ」と言われましたが、とてもそうは見えません。むしろ、明日にも死にそうな様子です。
「ちょっと普通じゃない……」
素人目にも明らかなほど様子が変でした。

(硬い表情で部屋のすみっこにうずくまる)
医者を疑う
当時、その猫はまだ1歳にも満たない中猫でした。里親を引き受けて我が家へ迎え入れてから、わずか2カ月たらず。毎日が喜びと驚きでいっぱいで、楽しくて、幸せでした。
「この子が死んでしまうかもしれない」と考えると、怖くてたまりませんでした。
様子を見る限り、獣医さんのことばはとてもじゃないけど信用できないと感じたから、すがる思いで保護主のボランティア団体さんにメールで相談しました。
「病院ではもう大丈夫って言われたけど、どう見てもようすが普通じゃないんです」
詳しい経緯を説明したら、評判のいい獣医さんを教えてくれたので、すぐさま連れて行きました。
徹底的に検査した結果…!
うちの猫の様子をひとめ見た瞬間、その獣医さんの表情が曇りました。
「もしよければ、感染症の血液検査と、ほかにもいくつかの検査をさせてほしい」と言われたので、病院ですぐに受けられる検査は全部受けました。
レントゲン、エコー、生化学検査、白血球数の顕微鏡による目視確認などです。
血液検査の結果、FeLV(猫白血病ウイルス)とFIV(猫エイズ)の両方に感染していることがわかりました。そしておそらく、すでにリンパ腫のがんを発症しているであろうことも…。

(FeLVにもFIVにも感染していた)
その他にも、腎機能が極端に低下していて、黄疸が出ているとも言われました。他にもいろいろ言われましたが、あまりにたくさんありすぎて、もう覚えていません。
ひとつだけ覚えているのは、哀しそうな顔でこう告げられたことです。
「はっきり言ってかなりひどい状態です。このままでは、もってあと2日でしょう」
下痢が続いていたせいで貧血と脱水がひどかったから、その日は補液するためにひと晩入院させました。でも、一時的に症状をやわらげるだけで、寿命が延びるわけじゃありません。
ダメ元の抗がん剤治療を決意
一度の検査ではがんだと断定できないと言われたので、翌日、もう一度白血球数を確認するために生化学検査をしました。その結果、明らかに症状が進行していたので、獣医さんは「リンパ腫」の最終診断をくだしました。
その後は、今後の治療をどうするかの説明と相談です。
抗がん剤治療とステロイド剤による治療について説明を受けましたが、どちらも強くはすすめられていません。抗がん剤治療は高額なうえ、治る保証はないからです。
長く下痢が続いているせいで体力も落ちています。脱水と貧血がひどすぎて、注射針を刺すための血管の確保もむずかしくて、治療を続けられるかどうかも分からない状態でした。
具体的にどれくらいの期間とお金がかかるのか、もし効果があったとして、あと何年生きられるかなど、詳しく教えてもらいました。
その答えは、私にとっては絶望的な内容でした。
それでも、翌日から私たち家族はダメ元の抗がん剤治療に踏み切りました。なぜって、たとえどんな結果に終わろうとも、この子を失う心の準備がまだできなかったんです。