保護猫の里親を申し込むと、正式な譲渡の前に「トライアル期間」というものがあります。このトライアル期間中に希望する猫との相性を見極め、うまくやっていけそうと判断したら正式譲渡にうつります。
けれど、トライアルがうまくいかず失敗に終わることもあります。それどころか、トライアル期間中に早々と「返品」する人もいます。
いったいどんなときに「うまくいかなかった」と感じるのでしょう?
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先住猫がいると難しい
トライアルが難しいケースの代表は、先住(せんじゅう)猫がいる場合です。先住猫とは、すでに飼っている猫のこと。先住猫にしてみれば、自分の「なわばり」にある日とつぜん知らないやつが入ってくるわけですから、そりゃあ面白くありませんよね。
しかも、大好きな飼い主さんが、自分のことはそっちのけで「新入り」に付きっきりだと、ますます面白くありません。
先住猫も新しく迎え入れる猫も、おおらかで無関心な性格ならトラブルは少ないでしょうが、多くの場合、最初はケンカします。なわばり争いです。
先住猫がケンカをしかける場合もあれば、新入りがケンカをしかける場合もあります。
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時間をかければ高い確率で問題は解決する
相手が視界に入るとケンカするようなら、すぐに折り合いをつけるのは難しいので、最初は別々のへやで飼育して、徐々に慣らすなどの工夫が必要です。
猫は人間が思っている以上に頭が良く、計算高い生き物です。ケンカをしてもなんの得にもならないと気付けば、やがてはケンカをやめ、少しずつ折り合いをつけます。
先住猫がいるときは、長い目で見守る我慢が欠かせません。1カ月で慣れる場合もあれば、半年もたつころようやく慣れることだってあります。
たかだか1週間ぐらいでマッチングを判断しないで、粘り強く付き合う覚悟で、新しい猫を迎えましょう。
不心得(ふこころえ)な里親希望者もいる!
もうひとつ、トライアルが失敗するケースの代表に、不心得な里親希望者による「返品」があります。うまくいかないというより、猫が気に入らないと返す人がいます。例えば次のようなケースです。
- 夜鳴きがひどい
- なつかない
- トイレをちゃんと覚えない
- 壁や家具を爪でバリバリにされた
ほかにも「返品」の理由はたくさんあります。保護団体さんに実例を聞くと、腹が立つほどバカげた理由ばかりです。
この問題はとても深刻ですが、不心得な里親希望者だけじゃなく、保護主さんの姿勢にも原因の一端はあります。こんな身勝手な人には、もっと毅然(きぜん)とした態度で猫の飼育について教育をするべきなんです。
でも、こんな人を教育するのは大変だし、「こっそり捨てに行かれるかもしれない」と思うと怖くなり、あっさり猫を引きとりに行くんです。
誰もが猫の飼育になれてはいない
保護主さんと里親希望者の間には、大きな温度差があります。保護主さんが幼稚園の先生なら、里親希望者は新米ママのようなもの。
猫がいきおい良くカーテンによじ登る光景を見たら、最初はだれだって驚きます。大事なカーペットに度々ゲロを吐かれたら、途方にくれるのも不思議ではありません。
集合住宅に住んでいる人は、夜鳴きがひどい猫は隣近所からクレームを言われないかと不安になるだろうし、壁をバリバリにされると退去時の費用が不安になる人もいるでしょう。
猫の飼育に慣れている保護主さんは、猫のお世話をするときは汚れてもいい服を着るし、猫を遊ばせる部屋に高級品や壊れものは置きませんが、新米里親は最初からそこまで気が回りません。初心者には、猫が定期的に吐くことさえ知らない人もいます。
だからといって、勉強不足を責めるだけではなんの解決にもなりません。
里親学級を開催する
里親制度をもっとうまく運営するためには、猫を飼い始める前に学習できる場を整えることが、これまで以上に重要になってきます。里親を希望している人を集めて猫の習性や飼育について学ぶ教室を開催することで、必ず「返品」やトラブルは激減します。
けれど、それを保護団体さんや個人の保護主さんが行うのはあまりにも大変です。自治体や国を挙げての大規模な施策が行われることを期待したいですね。獣医師さんの協力も欠かせません。
そして、これから猫を飼いたいと思っている人は、猫を迎える前に少しでも猫の行動について勉強しておくことで、よりスムーズに「困った行動」に対処できるはずですよ。